2024.03.07
ビジネスレポート:【飲食店調査レポート】インバウンド効果を口コミの視点で調査。78%の飲食店が機会損失をしている可能性があることが判明
飲食店を中心に20年以上出退店の総合支援を行う店舗流通ネット株式会社(東京都港区/代表取締役社長:戸所 岳大)は、飲食店がインバウンド効果をどれくらい受けているのかについて、店舗の口コミという視点から調査した結果、78%の飲食店が機会損失をしている可能性があることが判明しました。また、ラーメン店は他業種に比べて外国語の口コミを獲得しやすいことが分かっています。
【調査内容】
検証1:店舗に対する口コミを「多い」「少ない」で分け、それぞれの坪単価売上(税別)推移を比較
検証2:店舗に対する口コミを言語別(日本語と外国語)にした上で「多い」「少ない」で分け、それぞれの坪単価売上(税別)推移を比較
検証3:店舗に対する口コミのうち、外国語の割合はどの位あるのかを調査し、業種別に比較
<図1>検証条件
・2023年1月から10月の口コミ平均13.5件を基準にし、平均値より多いか少ないかでセグメント(口コミがゼロの場合は、「少ない」にセグメント)
・エリア:一都三県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)
・業種:居酒屋・バル、焼肉・ホルモン、ラーメン、カフェ、多国籍料理、和食、テイクアウト
・店舗数:当社支援店123店舗
・坪単価売上平均値期間:2022年10月から2023年10月の売上
※飲食店の口コミ(対象:Googleマップ)を活用した調査に関しては、株式会社mov(東京都渋谷区/代表取締役 CEO:渡邊 誠)の協力のもと進めた
インバウンド効果を調査するにあたり「お店を選ぶ際はWEB上の口コミを参考にする」という予測が数値的に証明できるのかを調査した結果、口コミ件数が多い店舗の方が口コミ件数が少ない店舗より、坪単価売上平均が高いことが分かった。2023年10月の数値を比較すると、口コミが多い店舗は、口コミが少ない店舗より坪単価売上平均値が46%も高く、このことからも口コミが店舗の売上に顕著な影響を及ぼすことが読み取れる。
■日本語の口コミと外国語の口コミ、坪単価売上平均値の影響の差は21.46%
<図2>検証条件
<日本語>
・2023年1月から10月の口コミ平均12.7件を基準にし、平均値より多いか少ないかでセグメント(口コミがゼロの場合は、「少ない」にセグメント)
・エリア:一都三県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)
・業種:居酒屋・バル、焼肉・ホルモン、ラーメン、カフェ、多国籍料理、和食、テイクアウト
・店舗数:当社支援店123店舗
・坪単価売上平均値期間:2022年10月から2023年10月の売上
<外国語>
・2023年1月から10月の口コミ平均2.8件を基準にし、平均値より多いか少ないかでセグメント(口コミがゼロの場合は、「少ない」にセグメント)
・エリア:一都三県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)
・業種:居酒屋・バル、焼肉・ホルモン、ラーメン、カフェ、多国籍料理、和食、テイクアウト
・店舗数:当社支援店123店舗
・坪単価売上平均値期間:2022年10月から2023年10月の売上
飲食店の売上に口コミが影響を及ぼすことが判明したため、次に口コミを日本語と外国語でセグメントし、それぞれの売上への影響について調査した。その結果、外国語で書かれた口コミの「多い」「少ない」でセグメント<図2右>した場合の方が乖離が極端になった。
対象期間中、日本語の口コミの「多い」「少ない」でセグメントした場合は、口コミが多い店舗の方が少ない店舗より坪単価売上平均値が37.25%高い結果であったのに対し、外国語の口コミの「多い」「少ない」でセグメントした場合は、口コミが多い店舗の方が少ない店舗より坪単価売上平均値が58.71%も高く、その差は21.46%であった。
■外国語の口コミを獲得しやすい業種1位は「ラーメン」
<図3>検証条件
・2023年1月から10月の口コミ
・エリア:一都三県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)、大阪、名古屋
・業種:居酒屋・バル、ラーメン、焼肉・ホルモン
・店舗数:当社支援店266店舗
次に、店舗に対する口コミのうち、どの位の割合や件数で外国語の口コミがあるのかについて、弊社が保有しているデータを活用し、調査を行った。結果として、口コミ総数に対する外国語の口コミの割合は平均8.6%であることが判明し、件数で算出すると、1店舗当たりの外国語の口コミ件数平均は3.4件となった。口コミ件数は業種別に異なるのかを対象期間の口コミ獲得合計件数の店舗平均で比較してみると、ラーメン店の口コミ件数はほかの業種より多いことが分かった<図3-1>。
さらに、口コミを獲得している店舗の外国語の口コミ件数について、外国語の口コミが平均値より高い店舗はどの位あるのか業種別に調査を進めたところ、ラーメン店が最も高く、40%という結果になった<図3-2>。
観光庁が発表している「訪日外国人消費動向調査 2023年7‐9月期(1次速報)」によると、ラーメンは「一番満足した飲食」の第2位に輝いており、回答者の18.8%がラーメンを選んでいることから、外国人観光客のラーメン人気が高いことも分かり、口コミを得やすい業種であることが判明した。
当社支援店266店舗のうち、外国語の口コミ件数平均3.4件を上回った店舗は58店舗であり、208店舗が外国語の口コミ獲得に至れていない。つまり、現状78%の店舗がインバウンド需要の機会損失をしているともいえる。今回の調査結果からインバウンド需要が高まっていたとしても、外国語の口コミを増やす施策や訪日外国人観光客に興味を持ってもらうような施策を行っていない店舗は、大きな機会損失をしている可能性が考えられる結果となった。
■調査結果引用時のお願い
本調査結果の引用時には、以下のご対応をお願い申し上げます。
1:情報の出典元として、「店舗流通ネット株式会社調べ」と明記してください。
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