2022.05.26
ビジネスレポート:【飲食店動向調査結果発表】SNS活用・キャッシュレス決済を取り入れた居酒屋・バル 営業利益率20%超え続々
飲食店を中心に20年以上出退店の総合支援を行う店舗流通ネット株式会社(東京港区・代表取締役社長 戸所岳大)が四半期ごとに公開している飲食店ビジネスレポートにおいて、2019年の新型コロナ流行前から現在にかけて飲食店の売上分析を行った結果、経営が厳しいとされる居酒屋・バル業態で≪営業利益率が20%を超えている店舗が相当数存在する≫ことがわかった。
尚、本調査は当社が独自の保有する売上指標および出店傾向アンケート調査を基に、東京都の飲食店の動向を分析しレポートしている。
■最も人流と相関関係にあったのは「居酒屋・バル」業態だった
緊急事態宣言中~解除後(2021年8月1日~2021年12月1日)の東京都の人流推移と居酒屋・バル、焼肉・ホルモン、ラーメン、定食・食堂、和食、多国籍の6業態の坪単価売上を比較した結果、居酒屋・バル業態が人流と売上の相関関係にあり、人流感応度が非常に高く、2019年度の売上に戻っている訳ではないが、焼肉・ホルモン業態よりも坪単価売上が2019年コロナ前比率、1.65~12.59%を超えて推移していることがわかった。
(図1)では、コロナ禍において安定した経営ができるとされてきた焼肉・ホルモン業態と最も影響があるとされた居酒屋・バル業態(当社契約117店舗)の坪単価売上2019年同月比を比較している。
■営業利益率が20%超える居酒屋・バル業態
コロナ以前~緊急事態宣言解除後(2019年1月~2021年12月)の営業利益率を比較してみたところ、通常飲食店全体の営業利益率は5%が平均とされ、20%を超えると優良であるとされている中、当社契約の117店舗中21店舗の居酒屋・バル業態の営業利益率は、20%を超える結果を出している。また、焼肉・ホルモン業態については、安定した利益率が出せていることもわかる。
■成功の鍵はSNS活用やキャッシュレス決済、デリバリー導入
コロナ禍を乗り越えるため店舗独自のアクションやSNSの強化、キャッシュレス決済、デリバリーを取り入れるなど経営手法を行っている居酒屋・バル業態の店舗において、それらを導入している店舗と導入していない店舗を比較すると、平均30%以上売上が高い水準にあり、その差は緊急事態期で49% → 緊急事態解除で45% → 2022年度では32%であった。
また、飲食店リサーチ(シンクロ・フード実施)でも下記のような結果がでている。*2
▽業務効率化に好影響を与えたITサービスは?
1位 「キャッシュレス決済システム」21.2%
2位 「多機能型POSレジ」19.0%
3位 「集客を目的とする各種SNS」18.3%▽取り組んでいる集客施策は?
1位 「Instagram」60.5%
2位 「Facebook」54.8%
3位 「Googleマイビジネス」46.3%
■独自のマーケティングデータを活用した出店支援
業態ごとのマーケティングデータに加え、経営手法が利益率を大きく左右していることもTRNの保有するデータから読み取ることができる。出店希望者には、当社の出店支援サービス「ショップサポートシステム」で蓄積されたマーケティングデータや経営戦略を提供し、飲食店の新規参入へのリスクを極力減らすためのアドバイスを行っている。
ー当社契約の好調な居酒屋・バル業態 店主の声ー
中目黒 魚魚郎 代表 椎名大樹様
【実績】2019年から売上189%へ増
【最寄り駅】中目黒駅 徒歩3分 7.62坪
【コロナ禍の施策】コロナ以前に価格帯や備品を見直し、インスタグラムでの発信を強化したことで、優良顧客がつき、口コミで広がっていく施策を重視した。
コロナ禍では、テイクアウトや感染対策の徹底も行ったが、店主の椎名氏は必ずお店に立ち、お客様の様子を直接見ることで、その時期ごとに細やかに対応していくことを心がけ実践したことで、店のブランド価値を維持することに成功した。
リピーター3:常連1:新規客6の独自割合を徹底することにより、わずか18席の店内であっても、口コミで集まった客がしっかり回転していくよう計算されている。
【当社担当】清水
タイ屋台 999新宿 代表 新井勇佑様
【実績】2020年以降、原価率を大幅に減
【最寄り駅】新宿三丁目駅 徒歩2分 11.5坪
【コロナ禍の施策】SNSでコアユーザーを意識したWEBマーケティングを展開し、メニュー見直しによるオペレーション改善、また、アライアンス提携によるサプライチェーンを自社で確立した。
さらに、仕入れ効率を追求し、物価・人件費の高騰による市場背景をいち早く察知し、利益KPIの抜本的な改革の施策を行った。
代表の新井氏は、経営ノウハウを同業者の方々へも情報提供するなど、外食産業の常識にとらわれないビジネスモデルとして、さまざまなシナジーを生みだしている。効率を追求した先に “CS=顧客満足”を重視させるべく、サービス向上に充てる活動を行っている。
【当社担当】粕谷
■まとめ
店舗流通ネットでは、空き物件を紹介するだけでなく、当社独自のサービス「ショップサポートシステム」を介して得たデータを基に、分析を行い、契約者にとって有益な立地、業態にあった坪数、資金援助、売上予測などのマーケティングデータを提供しており、コロナ禍及びアフターコロナにおいて厳しいとされる「居酒屋・バル」業態でも、利益を生み出すことができることが証明された。
また、当社ではショップサポートシステムを利用し、出店ハードルを下げることで、飲食業界全体を盛り上げることを使命としている。当社での出店は、コロナ禍においても、一般の飲食店と比較して生存率は13~36%高いという実績も出ている。
【引用・出典】
図1~4 ・・・当社調べ
「緊急事態」について ・・・まん延防止等重点措置を含む期間
ショップサポートシステムとは ・・・https://www.tenpo.biz/tentsu/articles/192/(店通-TENTSU-)
*1 2021.7.15【飲食店舗を独自分析】立地や業態による生存率の違い・・・https://trn-g.com/business-report/7334/
*2 2020.11.11.シンクロ・フード 飲食店リサーチの調査 http://www.synchro-food.co.jp/news/press/3228